私の彼氏は超肉食系
私は書き終えたサイン色紙を警視総監に渡す。

「ありがとう。こちらさんは何方かな? よく似ておいでだからお母様でしょうか。」

あれっ。

イチユリストじゃないのか。

いくら昔の映画のファンだからと言って、今の彼女の顔を知らないということはないだろう。

「こちらは私のプロデューサー兼女優の『一条ゆり』です。この男性は警視総監で映画評論家でもある『サイゾウ』さんです。」

私はそのまま彼女を紹介する。

「あああの。すみませんね。私は古い映画はあまり見ないもので、ですが貴女のファンだという友達から、彼女の主演作を勧められたんですよ。彼女の演技は素晴らしいですな。」

何故か彼女の顔が青ざめる。

どうしたんだろう。

「あ、あのう。今日の彼女の事情聴取は終わったのでしょうか。できればすぐに引き取って返りたいのですが・・・。」

「そうですな。お疲れのところお引止めして申し訳ない。なあ、もういいんだろ。」

最後にずっと直立不動で立っていた課長さんに聞いている。

問題ないみたいね。
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