私の彼氏は超肉食系
『この部屋は鍵がかかっているようですね。そんなこともあろうかと用意してまいりました! ジャジャーン!!』

レポーターが取り出したものは電動ドリルだった。

テレビ局の大道具さんから借りてきたらしく凄くゴツい。

しかしそこまでスル。

まさか和重の言ったことが本当になるとはね。

仕方が無い。

面倒だけど攻守交替させてもらうか。

「イヤよ! やめて! この部屋はダメなの! ダメなのよ! 貴方なら止められるでしょ社長さん。」

私は一星テレビの社長に取り縋って泣いてみせる。

このリアクションは一人目のタレントの劣化コピー。

どうにもこうにもコピーしたセリフの声に感情が上手く載らない。

まあ白けているのだから仕方が無いよね。

画面モニターで確認すると場内のカメラはリアクションをし出した私と社長のペアで写しており、生放送なのに中継先と交互で上手く撮っている。

流石はプロ。

頑張ってね。

「『西九条』くん、いくら私でもテレビカメラを止めることなどできんのだよ。」

上手く私に付けられたピンマイクが社長の言葉を捉える。

社長も元テレビマンらしいから、マイクが声を拾うように喋っているのかもしれない。

『社長、お言葉ありがとうございます。中継先のカメラさん。』

これで私の隣に居る男が一星テレビの社長と視聴者に認識されたされたはず。
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