私の彼氏は超肉食系
そんな彼が私の彼になったのは店での恋愛トラブル中のことだった。

その日は10人以上の女性が彼に詰め寄っていた。

「ご注文は何でしょう? ご注文をお願いします。」

それまで彼に向いていた非難の矛先がこちらに向いてくる。

「無銭飲食なんですね! 警察を呼びます!!」

スマートフォンで110番に掛ける振りをすると女性たちは一瞬信じられないという顔をする。

だけど慌てて口々に『ブレンド』と注文する。

「ご注文を繰り返させていただきます。ブレンドコーヒーを12ですね。他にご注文はよろしいでしょうか?」

私はお約束通りのセリフを返す。

「早く行ってよ。コーヒーを持ってきたら、もう寄ってこないで。静かにするから、これ以上迷惑をかけない。約束する。」

ひとりの女性がイライラした様子で、でも冷静になろうと努めている様子だった。
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