私の彼氏は超肉食系
それは困ったな。

「それって・・・執着心の対象が私に移ったから、あの男と別れた。ということよね。そんなに酷いの?」

「ああ。噂では15分に1回のペースで電話が掛かってきたらしいぞ。それで一星テレビでは本番中は携帯電話を預けることにして、社長は常に何処かの番組で指揮を執っていたそうだ。」

私の勘は当たったというわけか。

ひとりくらいストーカーが増えたからといってどうなるわけでもないんだけど。

しかし15分に1回の電話はキツイな。

思わずあの男に同情してしまった。

「もしかして、私が一星テレビの株を受け取ってしまったら拙いんじゃ?」

15分に1回は無いにしてもイロイロと理由を作って連絡が入る気がする。

「だがお前が彼女を突き離したら、執着心の対象が戻って、あの男が返り咲くかもしないぞ。」

それもイヤだわ。

じゃあ、黙って受け取るしかないのか。

「お父さん。『西九条れいな』さんが一星テレビの株主になってくださるというのは本当でしょうか?」

いつの間にか、彼女が顔を上げて西海会長に質問をぶつけている。

でも、私の背中に回った腕の力は弱まっていない。

本当に泣いていたのか?

「ああ。今、それを話し合っていたのじゃよ。彼女に慰謝料として2パーセントを渡せは、オーナー一族からの独立性も保てるし、和重くんや彼女の承認無くして社長を決められないからのう。」

「お父さん。ナイスです。それで行きましょう。私も経営に携わります。取締役の末席で構わないので役職をください。」

勝手に話が進んでいく。

「おお。やる気になってくれたか。これでわしも安心して引退できる。」
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