私の彼氏は超肉食系
あの男にハメられたらしい。

逆に考えればチャンスなのかも監督に『ダメだ』と烙印を押されたら一気にオファーが減るだろう。

あの男のゴリ押しで決まった仕事だから。

『ダメだ』という烙印を押されても誰にも迷惑は掛からないよね。

「あっ。断ろうと思ってもダメだぞ。そんなことをしたら、お前の所属事務所は廃業するしか無くなるぞ。」

「そんなこと考えていないわよ。目立たないようにお仕事してくるから大丈夫よ。」

流石に所属事務所の迷惑になるのは困る。

あの社長はどうでもいいけど、他に所属している女優やタレントさんが可哀想だものね。

「一度聞きたかったんだけど、和重は私に医者になれるように応援すると言ってくれていたよね。でも、本当は女優として活躍してほしいんじゃないの?」

言っていることがチグハグのときがある。

医大生をやっているときの話よりも女優をやっているときのことを多く聞きたがるんだよね。

単なる興味の違いかもしれないけど。

「何でそんなことを言うんだ?」

和重は怪訝そうな顔をする。

「だって! 凄く嬉しそうだったわよ。今回のオファーのことを聞くとき。」

「ああ、単なるミーハー心だよ。スギヤマ監督の大ファンだからさ。お前について行きたいくらいだよ。」

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