私の彼氏は超肉食系
「嘘よ。なんで淀みなく、あの長ゼリフが演じられるのよ。しかも、私が演じたセリフ回しから、動きや表情何から何まで同じように演じるなんて、しかも1回見ただけの『台地マキ』さんの演技まで。」

『西園寺』さんが床に座り込んでなにやらブツブツと呟いている。

「監督。今日はこれで終わりということでいいですよね。じゃあ帰りましょう。『マキ』さん送っていってくださいね。」

今日はアッシーをしてくれる男共が居ない。

元々撮影が順調だったなら、私の出演シーンがアップしたお祝いに彼女と何処かのレストランで食事をする予定だった。

彼女の名誉も守ったんだから、これくらい構わないよね。

     ☆

「何ですか。さっきから気持ち悪いなあ。」

映画の撮影スタジオから私の自宅に向かっているのだが『マキ』さんが運転しながら、ずっと笑っているのである。

「ふふふ。だって私に騎士が居るって、こんなに心地いいものだったのね。『お姉さまと呼びたいな。』って言ったら怒るよね。」

「別に構いませんよ。流石に『お菓子屋』さんが呼びたいと言い出したら、全力で拒否しますけど。」

今さらである。

本名を呼んでほしいのだけど、何度言っても止めてくれない。

『中田』さんも弟のように扱っても喜んでいる。

そこに『中田』さんよりも若い『マキ』さんが加わるだけなのよね。

「そうね。なんと言っても女神さまだものね。」

「あんなのあの場限りですよ。『人前で呼んだら殴る。』って言っておいてください。」
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