私の彼氏は超肉食系
「またですか。監督がうちの学長にストーリーを話したお陰で一体何例の虫垂炎の手術に立ち会わされたと思っているんですか。夜中に叩き起こされるなんて経験、現役の医者でも滅多に無いですよ。」

発症したばかりのものから今回のストーリーのように腹膜炎を併発しているものまで。

ありとあらゆる状況の虫垂炎の問診と触診を行ない、手術に立会い開いた中を見せられたのである。

腹膜炎を併発して癒着しているものなんて酷い状況だった。

「度々眠そうな顔でスタジオに現われたのはその所為か。まあいいじゃないか。」

監督がそういうならいいんだけどね。

その所為で撮影に掛かるまでに時間が取られて遅れることもあったからね。

まあ死にたてホヤホヤの解剖用に提供頂いた人体のお腹をメスで開く役目は真っ先に私のところへ回ってきたから得したといえば得したのだけど。

あまり嬉しく無いのは気のせいだろうか。

「それにしても都内の病院に入院した彼女のカルテを読んで、珍しい血液型だったからと異母姉妹を疑うだなんて短絡すぎませんかRH-AB型なんて2000人に1人と言われてますので結構居ますよ。現に私は大学病院で3人に血液を提供してます。」

それに裕也も同じ血液型なんだよね。

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