私の彼氏は超肉食系
降りしきる雨の中、撮影隊の救急箱を持ち、墜落現場に到着すると「警察庁」と大きく書かれたヘリコプターが横倒しになっており、ヘリの羽が折れ曲がっているのが見えた。

「大丈夫ですか?」

「はっ本官は大丈夫であります。」

ヘリの操縦士と思われる男性は元気なようだ。

しきりにヘリの無線に向かって呼びかけている。

「八條首席。申し訳ありません。次のヘリコプターを手配しておりますが、何分悪天候のため、飛べるものがおりません。つきましては自衛隊の応援を頼んでは如何でしょうか?」

「馬鹿いえ! 皇族が自衛隊を使ってみろ。諸外国からどんな言いがかりをつけられるか分からんのだぞ。」

「はっ。考えが至らず申し訳ありません。至急手配しますのでもう少しお待ちください。」

     ☆

結局、その場に残り続ける操縦士に簡単な怪我の処置を行い、屋敷に戻ってきた。

「じゃあ、『西九条』くん演技指導を続けてくれ。」

八條さんはそのまま見学するつもりのようで、映画のストーリーを聞いたり、手術台のセットについて監督へ質問しているようだ。
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