私の彼氏は超肉食系
「もう何度言ったら分かるんですか。腹膜炎は常にドクンドクンと痛いんです。そして、こうやってお腹を押して離したときに強烈な痛みがグアって感じで襲ってくるんです。」

どうやら、私は演技指導には向いていないようだ。

ボキャブラリが少ないのが問題だ。

「ゴメンわかんないや。1回やってみせて。」

今度は『マキ』さんがお腹を押す番だ。

流石に何度も私のやりかたをみているだけあって、手馴れた様子だ。

「う・う・うっ・う・う、くぅっっっ・・・・。」

私は何度も見た患者さんの表情を思い浮かべて演技を続ける。

「ああ、そういうふうなのね。」

「なんだと・・・。」

突如、ジっとこちらを見ていた八條さんが声を発する。

「それが虫垂炎の症状なのか?」

「いいえ。これは症状が1歩進んだ腹膜炎になったときのものですが。どうかされましたか?」

「殿下。親王殿下が丁度、そんな症状なんだ。」

マジ?

せっかく操縦士さんの治療はせずにやり過ごしたというのに。

今度は親王殿下なの?
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