私の彼氏は超肉食系
「この『ゆり』のデビュー作、見て分かると思うけど凄く目立つ役柄の割りに出番が少ないの。全部あわせても5日で撮り終わっているのよ。それくらいなら医大生の貴女でも時間は取れるでしょう?」

確かに何度も繰り返し見せられている部分は映画全体から長さからすると僅かである。

「この映画のリメイク版を撮影するというわけですか?」

「そうよ。『一条ゆり』の再来よ。もし当たらなくても、それだけ『一条ゆり』が凄かったということで、『ゆり』の仕事も増えるでしょう。」

ダシにされるのかも知れないが映画が当たろうと当たるまいと関係無い。

「報酬はどれくらい頂けるのですか?」

5日間とはいえ、拘束されてさらに顔が露出してしまうのだ。

多額な報酬を頂かない限り、割りに合わない。

アメリカに居るあの男の目には届かないと思いたいが映画に出れば伸吾さんには分かってしまうだろう。

私が嫌いな女優をしているとあの男にバレたら・・・厄介なことだ。

「報酬? 映画が当たれば思いのままよ。今回はうちも出資するから興行収入の1パーセントがうちの事務所に入るからね。それに1本当たり出演料、何千万円というオファーがくるわよ。」

それでは当たらなかったら無報酬同然ということだよね話にならない。

「いいえ。この映画に出演する報酬です。」

私はきっぱりと報酬を要求する。
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