私の彼氏は超肉食系
月に数回タレントをするだけという約束だったはず。

「マネージャー。無理よ。この子に取って女優になることは無価値なのよ。私の取り分の半分を払ってあげて、無理言って出てもらうんだから。」

彼の母親が口を挟んでくる。

『マネージャー』と親しみを込めて呼んでいるということは、この女性が裕也が所属していた事務所の社長みたい。

「えっ。そうなの? へえ、珍しいわね。そんな子も居るんだ。当たっても当たらなくても、たかたが500万円よ。それでいいの? まあ平行してタレント活動をしてもらうことになると思うから、もう少し払えるけど。」

芸能界にもお金にも興味が無いのがそんなに珍しいことなのだろうか?

「もちろん、それで構いません。私はお手伝いだけですので期待しないで頂けると助かります。」

かなり私が主演する映画の準備が進んでいるようである。

ここまで準備しているということは拒否権は存在しないのだろう。

拒否して今までのコネもご破算になるのでは大赤字もいいところ。

「早速なんだけど、今夜バラエティー番組に出演してもらうわ。それだけ言ったんだから、覚悟をしてよ。今回は、『ゆり』と一緒に出演だけど、次もそうとは限らないからね。」

報酬を要求するからには、それだけの仕事をしろ。ということらしい。

私はそのまま帝都ホテル内にあるエステサロンに直行させられている。

事前に予約してあったらしく、出演時間の3時間前まで、キッチリと身体を整えられていく。

いったい、どこまで勝手に進行しているんだ。

私が断るとは思わなかったのか?
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