私の彼氏は超肉食系
スタジオはそんなに大きくない。

むしろ狭いと言ってもいいくらい。

そこにテレビカメラが2台とモニターが数台。

背景はほぼCG合成で、立っている司会者とアシスタントの前に台本が置かれた台。

私が座るイスよりも少し高い位置に『一条ゆり』が座るイスが配置されている。

司会者をバストショットで写すテレビカメラと少し引き気味に私と『一条ゆり』を写すテレビカメラ。

モニターで自分の表情を確認する。

上手く上品そうな笑顔が作れているようだ。

出演する前にプロデューサーに清純派女優として売り出す私は上品に見えるように言われ、何通りかの上品に見える笑顔を鏡の前で作り出した。

もちろんプロデューサーも『一条ゆり』スマイルを崩していない。

テーマが決められているようで、初めは初恋の話であった。

「『西九条れいな』さんは、医大生なんだって? まさか、勉強に明け暮れて初恋もまだということも無いよね。」

「もちろんです。」

「初恋はいつだったのかな?」

「そうですね。小学校1年生のとき、隣の席に座った男の子が私の父の子供のころの写真にソックリだったんです。」

「へえ。君はファザコンなんだ。今でもそう?」

「あんな汚いひと嫌いです。」

思わず本音を吐露してしまう。

何も知らなかった小さいころは父が好きだったが、今は大嫌い。
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