私の彼氏は超肉食系
これで『一条ゆり』は安心したようでそのまま帰っていった。

裕也は精神科病棟に入れられることになった。

当分拘束衣生活だろう。

全ての経緯を聞いて後悔したらしく、大人しくなっているのだが今更遅い。

「遠藤先生、今日は本当にありがとうございました。」

「いえいえ。以前侵したミスを少しでも挽回できたら、と思って差し出がましい真似をしました。」

「そんなお休みだった遠藤先生に感じて頂くようなことでは・・・。」

母が自殺をしたとき、遠藤先生はお休みだった。

「いえ。院長の指示とはいえ、誓約書を書かせるような真似をしたことを後悔していたのですよ。」

誓約書自体は病院がスキャンダルを恐れ書かせるのが普通だろう。

そこまで気に病んでもらうものでもない。

「そんな。今回のことは本当に助かりました。こちらから、お礼しなけばならないくらいですよ。」

「そうですか? それでは、今度食事にでも付き合ってください。実は・・・テレビ画面の中の貴女に一目惚れしたのですよ。是非、お願いします。」

遠藤先生にそんなことを言われたのは初めてである。

彼は確か40歳くらいの独身医師。

身長も185センチくらい。

いわゆる『3高』でもあり、私からすると『3K』でもあるという優良物件。

でもそんなことよりも、彼の笑顔を見ているだけで安心できるところが大好き。

そんなにもテレビの中の私はいつもの自分と違っていたのだろうか?

天にも昇る気持ちって、こういうことだったのね。

「是非、今度誘ってください。」

結局、遠藤先生が翌日休暇で夜勤が無い日の夜の時間を指定されて食事に出かけることになった。
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