私の彼氏は超肉食系
「それで、ここへ逃げて来たのか? 意味が無いだろう。」

「いいじゃない。お客さんだよ。私。」

どうせタレントも女優も本業じゃないんだし、気楽にと思ったのだが思いのほか大変だった。

敗因は適当なところで止められない自分なのよね。

しかも、大学入学式後のオリエンテーリングの際に芸能人であることがバレて、どこに行くにも金魚のフンのように寄ってくる男たちに敵意バレバレの眼差しの女たち。

大学生活の中に潤いを求めた私がバカなのだろう。

医大だから医者になることが最優先と思ったのだが、そういうわけでは無いらしい。

コネで知り合った他の医大の学長が言うには、ここで優秀な旦那を見つけて夫婦で開業するのが彼女たちの夢なんだとか。

「誰が客だよ。お前が辞めてから、本当に大変だったんだからな。」

「何が大変なのよ。私が居なくても大丈夫なんでしょ。」

売り言葉に買い言葉、思いっきり言い返してしまう。

だけど確かそんなことを前に言われた覚えがある。

「裕也目当ての女性客が居なくなっただけなら、まだしも女性客が居なくなったからって二丁目のお姉さまがウエイターに告りやがってよ。大半のウエイターが辞めていったよ。だから、お前が働け!」

「それ全然、私、関係ないじゃない。」

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