私の彼氏は超肉食系
「それが嫌なんですよ。私は真摯に考え真摯に行動しても相手からみたら何処までが本当のことでどこまでが演技なんだろう。って思うじゃないですか。」

「じゃあ、なんで元俳優の俺なんかを選んだんだ。お前の周りには俳優じゃない男がごまんと寄ってきてるだろ。」

「私をこんなにした責任を取って貰おうと思って、それに貴方なら私の演技を見抜けるでしょ。」

私を裕也に売りつけたこと然り。

私の愛想笑いの演技を密告したことで『一条ゆり』に女優を強要されたこと然り。

唯一の逃げ道だった遠藤先生がストーカーだと教えたこと然り。

もう私には、人格が最低だが私の演技を全て見抜ける、この男しか残っていない。

「・・・それは・・卑怯だぞ。それに俺をあんなに動揺させておいて言うセリフか。」

「まさかベッドに押し倒した瞬間に冷めてしまうとは思わなかったです。」

拒絶されると思ったけど、何故かそのまま受け入れてくれた。

押し倒した私の顔は酷い顔をしていたのだろう。

情けをかけてくれたに過ぎないのかもしれない。

ただそのあとの彼は凄く優しく抱いてくれた。

それで十分だった。
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