私の彼氏は超肉食系
「うん。あれは番組プロデューサーにハメられたんだよ。僕は君に対する質問のつもりだった。僕の持ち味は番組内で女の子に平然とエロトークを持ちかけるのが得意でね。それが結構受けていたんだ。」

「知ってます。いろんな反応が返ってきて面白いですよね。放送禁止寸前のトークに発展したりして。」

「それなのに他のスタッフは女優『一条ゆり』に焦点を当ててスタンバっていたらしいんだ。新人プロデューサーだったから、功を焦ったみたいだね。僕の権限で更迭してやったよ。」

「そうなんですかプロデューサーにはそう申し伝えておきます。ところで『お菓子屋十万石』さんは『一条ゆり』さんの映画のどのシーンが好きですか?」

思いつきで質問してみた。

彼が本物のファンならばスラスラと出てくるはずだからである。

「僕はねえ。第3作目『花ひらき白衣の花』の中盤に出てくる突然、ドアップの『一条ゆり』さんが一瞬出るシーン。」

「うわぁ。マニアックですねぇ。」

当時の二枚目俳優が演じる医者が不治の病に冒されながらも懸命に生き抜く話だが、挫けそうになったときに出てくる回想で『一条ゆり』演じる看護師役の彼女の笑顔で救われるという。

お決まりのシーンに出てくる1カットである。

「君にできるかな?」

彼はこちらの意図を知ったうえで挑戦してきたようである。
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