私の彼氏は超肉食系
どうやら、この部屋の担当医に目をつけられたようだ。

大きなマスクに透明なサングラス、

頭には帽子と完全防備だが下は白衣だけだ。

それも胸元を大きく開けて、胸の谷間が覗いている。

手には手袋をつけているが、真っ赤なつけ爪が透けている。

ビッチと言われないだけマシかもしれない。

しかし、イケイケは古いなあ。

90年代位が青春だったんだろう。

私は言われたところに立ち、担当医のカウントダウンに合わせて包丁を抜く。

患者はヤクザみたいだ。

刃物で命のやりとりをしていたらしく身体中に切り傷があり、銃弾の古傷と思われる跡も多い。

「何やってんだぁ! お前。」

担当医のカウントダウンよりも若干早く包丁を抜いてしまったらしい。

罵声が飛んでくるも担当医が傷口を押さえる。

その一瞬の間で大量の血液が飛び出してきた。

ワザとなのか偶然なのか向こう側から傷口を押さえたため、真上に飛び出していた血液がこちらに向かってくる。

真正面から私の透明なサングラスに向かって一瞬だけ飛んできた。

もちろん、周囲の医学生は悲鳴をあげて逃げており、担当医はその医学生たちに罵声を浴びせている。

まさに狙ったかのようにサングラスの右目から右頬、そして胸の谷間が真っ赤に染まっている。

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