私の彼氏は超肉食系
「おい。大丈夫か。」

この大惨事に罵声を浴びせていた担当医も気遣いの言葉が出た。

「次は、何です?」

こんなことは大したことじゃない。

まだ処置の真っ最中なのだ。

「・・・ああ、・・・そのまま腰をシッカリと押さえつけていろ! 痙攣症状が来るはずだから、多少暴れるかもしれん。そこのノッポ! イケイケがここまでやっているんだ。腰を抜かしてないでシッカリしろ。」

私がヤクザの腰を押さえつけると同時に痙攣症状が発生する。

これも、腰をシッカリと押さえていれば、最低限の動きで済むと習った。

全力で上から体重を掛けておさえつける。

情けないことに腰を抜かした医大生がいるらしいが、周囲の医大生の様子なんか見ている暇なんて無い。

しばらくすると痙攣症状がやむ。

どうやら、ひとつの峠を越したようだ。

「よし! イケイケよくやった。お前だけ休憩な。おら! 悲鳴をあげて逃げ惑うようでは単位なんぞ貰えんと思え! ほら、次がくるぞ。」

これが認天堂医大名物の『血の洗礼』らしい。

これくらいの血に悲鳴をあげていては医者になれない。

医師免許を持っていれば外科や内科、産科となんでも出来ないといけないような過疎の村も存在するのだ。

嫌だなんて言ってられない。
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