魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜



気付こうとしない様は滑稽。


可哀想にも思えてくるから不思議なものだ。


「ふふ」


期待はない。


自嘲か、他にあるのか。


分からないけれど、ただ、笑ってしまった。



ああ、アサヒに会いたい。


でも、だめ。


まだ時ではないから。


もう少し欺かないと、彼らは警戒を強化してしまう。


信用させてから忽然と消えた方が家出感があって、いいでしょう?



それに、アサヒには聞きたいことがまだあるから。


どこまでいっても追いかける。


アテはないけど、きっと、どうにでもなる。


ああ、その前に私が狂ってしまわないといいのだけど。



募っていくのは、一体なあに?


彼に会いたいと思う気持ち?


目を瞑らなければいけない、この想い?


まだ他にあるのか、はたまた全てがそうなのか。


私には、分からない——。






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