魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜



これまで抑えてきた全てが爆発したに違いない。


そうでないと、収まらないこの気持ちの有り様は説明がつかないの。


だから早く、一人にして。


冷静にさせて、お願いだから。



願っても望んでも、意味はなくて。


ベッドカバーを引っ張り出して、枕を投げつけて、花瓶を割る。


カーテンはレールから引きちぎられて、その意味を成していない。



母親は叫ぶだけ。


父親は狼狽するだけ。


混乱状態のこの場を収めたのは、騒ぎを聞いて駆けつけた医師と看護師だった。



両親は引き剥がされて、別室に連れて行かれた。


私は、長々と診察を受けた。


気分が落ち着いた頃には側に誰もいない。


正確には、気分が落ち着いたというより、どうでもよくなっていた。



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