魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
* *
——ザブ……ジャブ……
漣(サザナミ)が立って、身体が静かに沈んだ。
冷たい。寒い。
心が、身体が。
助けて。見捨てて。
相反する思いが期待を持たせて、後ろを振り向きたい衝動に駆られる。
気付けば夜の湖に、私は身を預けていた。
深い深い、闇に飲まれそうな水面。
僅かに見える。
もう、足が届かなくなるところまで来ている。
私はこのまま死ぬのだろうか。
死ねたら楽になれるのかな。
ああ、それなら生きるよりもずーっと楽。
そう。ずうっと楽で、簡単。
そんな私を連れ戻すのは、いつだってあの人なのだ。
「アリサ…っ!!」
ザブン、と。
誰かが飛び込んできたかと思うと近づいてくる気配。
肩を掴まれて、後ろを振り向かされた。