魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
ベッドからそっと降りて、床に足をつく。
手早く服を着替えて、ふと見回す。
足元に置かれたスリッパには目もくれずに、ベッドの下から見つけた自身の靴を引っ張り出して履く。
アサヒがくれたそれは、私の足にぴったり合っていた。
意気込んでも私には何もない。
希望はかけら程度しか残っていない。
運が良ければ、としかまだ言えない。
なら、行けるところまで行ってみようか。
そうして私は病院を抜け出した。