魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
「はあ、は……はあ……は、ぁ……」
夜風が冷たい。
息が乱れる。
ここはどこだろう。
知らない。けど走る。
バレてはいないだろうけど、それでも何かが追ってくる気がして必死に振り払う。
やってしまった。
逃げ出してしまった。
怖い?ううん、怖くはない。
目的は振り向くことではなく、まして捕まることでもない。
ただ一つしかないのだ。
気付けば辺りは人がいない。
朝も近いのだろうか。
空気が少し冷たくて、頰にぴりぴりくる。
やはり少し寒かったか。
部屋に置いてあった上着を着てきて正解だったらしい。
さて、どこへ行こうか。
電車にでも乗る?タクシーを捕まえる?
それとも足を動かそうか?