魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
時間も時間で、できることは限られている。
行き先は決まっていないのに、どうしてだか足は止まらない。
どこに向かっているかも知らないのに、迷わない足はぽつぽつと窺える人波をくぐり抜けていく。
私は行くべきところを知っている?
……今は何でもいいの。
とりあえず走るしかないの。
どこか、明るい繁華街に出たことを知ったのはすぐだった。
人通りが多い。
真夜中なのにお店がやっている。
いたるところで客寄せをしていて、正直鬱陶しい。
あまり足止めを食らいたくないと、人の少ない通りに出ることにした。
その選択が間違っているか否か、今の私には到底分からない。
けど、運が悪いと反省するしかない。
「オネーさん。なーにしてんの?」
……こんな時に。