魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜



時間も時間で、できることは限られている。



行き先は決まっていないのに、どうしてだか足は止まらない。


どこに向かっているかも知らないのに、迷わない足はぽつぽつと窺える人波をくぐり抜けていく。



私は行くべきところを知っている?


……今は何でもいいの。


とりあえず走るしかないの。


どこか、明るい繁華街に出たことを知ったのはすぐだった。



人通りが多い。


真夜中なのにお店がやっている。


いたるところで客寄せをしていて、正直鬱陶しい。


あまり足止めを食らいたくないと、人の少ない通りに出ることにした。


その選択が間違っているか否か、今の私には到底分からない。



けど、運が悪いと反省するしかない。


「オネーさん。なーにしてんの?」


……こんな時に。



< 160 / 326 >

この作品をシェア

pagetop