魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
「ぁ、の……」
情けないことに声は乏しく、正しく言葉を発することができない。
それを彼らは煽りと受け取ったらしい。
ひどく瞳がギラつき出した。
頼りにしていたあの人はいない。
彼がいなければ私は何もできないのか。
痛感して、私の声はもう誰にも届かないと諦めた。
抵抗することを止めて、身を委ねてしまった。
「んじゃ、いこーか」
掴まれたままの腕はまだ、離してもらえそうにない。
私が逃げるとでも思ったのだろうか。
もう、そんな気力もないというのに。
黙って重たい足を動かした。
——と。
「おい、何してんだよ」
背後から少し乱暴な声が聞こえて、振り返る。
明るい、橙に近い色の茶髪をワックスでしっかり固めた派手めの男性がいた。
20代半ばか、恐らく私よりもずっと年上だろう。