魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
ふむ、所謂これが破瓜(ハカ)というやつか。
いやいや、卑猥な表現では一切なく。
第一私は全くもってそういう話はしていないから当然、別の意味です、別の。
はて、一体何の弁明なのでしょう。
「そうなんですか。ふうん……あっ、あと——」
「もう無いね?」
さも納得しているように見せて次の質問へと移しかける私は、即座に押し込められる。
語調に感じる強みは一体……。
気のせいかもしれない、と仕切り直そうと——
「え、いや…」
「もう、無いよね?」
今度は口調に棘を感じました。
どうやら気のせいではなく、本気で私を制止しようとしているよう。
それは聞かれて都合が悪くなるからでなく。
同じやり取りを続けてこの先、躱(カワ)せなくなるだろう自分を見越して示した行動の気がした。