魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜



ふむ、所謂これが破瓜(ハカ)というやつか。


いやいや、卑猥な表現では一切なく。


第一私は全くもってそういう話はしていないから当然、別の意味です、別の。


はて、一体何の弁明なのでしょう。



「そうなんですか。ふうん……あっ、あと——」


「もう無いね?」


さも納得しているように見せて次の質問へと移しかける私は、即座に押し込められる。


語調に感じる強みは一体……。


気のせいかもしれない、と仕切り直そうと——



「え、いや…」


「もう、無いよね?」


今度は口調に棘を感じました。



どうやら気のせいではなく、本気で私を制止しようとしているよう。


それは聞かれて都合が悪くなるからでなく。


同じやり取りを続けてこの先、躱(カワ)せなくなるだろう自分を見越して示した行動の気がした。



< 19 / 326 >

この作品をシェア

pagetop