魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
「その名前がアリサの口から出るとは思わなかったから、少し驚いただけだよ。
そうなんだ。あの朴念仁から聞いたんだね」
「“あの”って……」
アサヒは、こんな人だっただろうか。
苦笑しつつも、「うん、そう」と頷いてみせる。
あの人が聞いたらいい顔はしないだろう。絶対に。
少し話しだだけの私でも分かる、確かに愛想の悪い人だった。
そして、少し戯れたあとに本題へと移る。
「アサヒ。隠さないでね。私、多少は覚悟しているから。
知っていることはあの人から聞いた程度だから、取りこぼしがあると思う。だから、ちゃんとアサヒの口から真実が聞きたいの」
「……」
「私、言ったよね。アサヒが背負う必要はないって」
何も言わないアサヒに一つため息を零して、問いかける。