魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
ここまで勘繰ってしまうのは慎重になっているから?
それとも何か……
彼のことを体が覚えていたりでもするのか。
……いや、もはや一端の予想に過ぎないものに答えを見出そうとするのは無理やり過ぎる。
これでは、ただのこじ付けにしかならない。
ないない、と思考を追い払っていると、黙った私に何かを思ったのかも知れない。
彼は私に一つの問い掛けをした。
「アリサは……ここから出たい?」
一切の思考を遮断させて、シュウに目を向ける。
出会って幾日か。
時間感覚も乏しいこの空間で、普段大人びている彼の雰囲気ががらりと一変した気がした。
声も、言葉も、私を見る瞳も。
常の微笑には騙されない。
だって彼は今、ここに来て初めて不安そうな顔をしている。