魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜



まるでそれは、私に答えを求めるように。


何かの返しを乞うように。


望んだ回答を待つように。



ただただ、揺れていた。


だから、私は——…




「——ここから、出たい」



ここで私が、発した言葉を違えていれば何かが変わっただろうか。


変わったかもしれない。


変わらなかったかもしれない。


ここで賭けてみなかった理由を私が知る日はきっと来ない。


少なくとも、今のままでは。



不思議だな。


どこか安堵したように息を漏らす彼の一連の所作に目を向けながら思う。


彼は何か、私に……——



……私に、なあに?



——隠している?


確かにそう。だけど違う。


——求めている?


言葉を選べばそうなるけれど、そうではない。


——問うている?


一体何を?違う、しっくりこない。


ならば…——



——期待、している?



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