魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
釘を刺すようにそう言われて、頷く。
「分かっているよ」
アサヒが代弁してくれたから、私は特に何も言うことはなかった。
シロウさんの持ち家は驚くことに、3階建てのこの建物全てを占めている。
1階が、彼が自営業で経営しているカフェ。
2階は彼の住まいで、3階はどこかの会社の物置として有料で貸し出しているらしい。
3階までは建物の外にある階段を利用するけれど、1階と2階は店の奥と直通しているため、昼間のうちは私とアサヒは外に出られない。
一応、行方知れずの私と逃亡中のアサヒ。
用心に越したことはないから、人との関わりをなるべく避けている。
特にアサヒは容姿も目立つから顔を覚えられる可能性が、もっとも高いのだ。