魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
5年前のあの日。
私たちは警察に出向いて衝撃の事実を知った。
誰一人、あの頃は教えてくれなかった真相を。
私は人を殺してなどいなかったのだ。
相手は重傷を負ったけれど、命に別条はなく、けれど意識が戻らない。
そんな状態だった。
軽い、とは言えないけれどどれだけ安堵したか、あの時の心情は計り知れない。
しかしながら、私とアサヒは罰を受けるには十分罪を背負える年齢だった。
当然、相応の判決は覚悟したけれど。
私もアサヒも保護観察処分のみ。
人を意識不明の重体にしておいて、加えてアサヒはその他、暴力事件の前科があるというのになんて軽いんだろうと思った。
どうやら両親が裏で根回しをしていたらしく、重罪は免れていた。
家督を重視する両親の意図を知っていた私たちは、あえて何も言いはしなかった。
否定すればどこへ飛ばされるか分かったものではなかったからだ。
少年院か、少年刑務所か。