魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜



小さな、小さな女の子。


森の中をずっと彷徨って、出ようとしない。


ずっと何かを探している。



『どこ……どこ…どこ…』


頭に怪我でもしているのかな。


こぶができている。


瞳には涙が溜まって、目元は泣きすぎて腫れている。


痛くて痛くて泣いているの?


なら帰ろう。


そんなに必死に探さなくても、きっとそのうち見つかるから。



『だめなの、だめなの、だめなの。わたしが見つけなくっちゃ意味ないの』


だったらまた日を改めればいいでしょう?


そんなに泣くなら、痛いなら、落ち着いてからゆっくり探そう?


『だめなの、だめなの』


どんなに諭しても聞き入れないのはそんなに大切なものだから?


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