魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
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カツ…カツ…
「あ、あの……アサヒ…?」
カツ、カツ、カツ…
「ええと……もしかして、怒ってる……?」
カツカツカツカツカツカツ…
いや、あの、速いです。
分かりやすい、分かりやす過ぎます……!
アサヒの手に掴まれた自分の手を引いて、強引に足を止めさせる。
ヒールだから少し苦労するかと思ったけど、彼もそれを分かっていたんだろう、特に抵抗なく止まってくれた。
「アリサ」
「は、はい…」
こちらを向いて私の名前を呼ぶ彼を、背をしゃんと伸ばして、恐る恐ると窺い見る。
すると、それまで真顔だったアサヒの表情が一変。
にこりと柔和な笑みを刻む瞬間を目の当たりにした私の頰が引きつった。
「どうして僕が怒っているのか、理解しているよね?」
「そ、それはもう、もちろん…!」