魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
再会した時は私の方が、あえて下手に出るアサヒに対して強気でいられたというのに。
……そもそも、あれはアサヒに非があったのだから、私が不機嫌になるのも仕方がなかった。
あの日からほんの数週間程度。
5年の空白を埋めるように、余程の理由がない限りはほぼ毎日一緒に過ごしていた。
早くも私は彼に順応しつつある。
今ではアサヒの方が優勢で、たとえ私がアサヒを振り回しているように傍から見えていようとも、それは違うと断言できる。
素か計算か、どちらかは定かでないけど、彼はあらゆる顔を駆使して私を惑わすのだ。
手のひらの上で転がされているような気がして、私はやはり彼には敵わないと思い知らされる日々を送っている。
「私が安直に相手をしたのがいけませんでした」
「それで?」
それで……とは?