魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
もし私が後ろめたさから黙っていたら、どうなっていたのか。
考えるだけで恐ろしい。
「あの、それで今日はどこに行くの?」
振り切るようにアサヒに問うけどきっと、彼にはお見通しだろう。
それでもあえて乗ってくれるのが優しいところだ。
「それなんだけど、今日は家にしようかなと思うんだ」
「家?」
「うん、僕の家。どうかな?」
それは……
「いわゆる家デートというものっ?」
瞳をキラキラさせて身を乗り出す私に、アサヒは苦笑を浮かべる。
「若者言葉で言えばそうなのかな」
歩き出すアサヒの横について、想像してみる。
実は、今の彼の家には行ったことがない。
以前は両親から数多くの家をあてがわれて、気分によってそれらを転々としていたけど、5年前の離別後の彼の動向を私は知らない。