魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜



「アサヒと一緒にいられることが、私の生きる理由。貴方がいないと私は普通ではいられない。
それは今でも変わっていないけど、それならもっと側にいられるようにしたいと思うの」


「もっと、側に?」


「そう。5年もアサヒと会えなかったのは、逃げなければならない理由ができてしまったあの事件のせい。あの事件がなければ、変わらず一緒にいられた」


「だけど、それはアリサのせいではないよ。僕の所業が招いた——」


「でも、それも元を辿れば私が弱かったのがいけなかった。アサヒの狂気は私が作ったようなものだから。
でもね、この5年間を嘆いているわけではないの。今はむしろいい機会だったと思えるくらい」



よく分からないと、首を傾げるアサヒに私は清々しいほど、にっこり笑ってみせる。



「だって、そうでなかったらアサヒは姉弟をやめてはくれなかったでしょう?」


「…!」


< 282 / 326 >

この作品をシェア

pagetop