魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜



あの出来事がなければ、アサヒは今も心を押し殺して、弟として私に接していたはず。


無理をして、笑っていたはず。


きっと、ずっと仮面を被ったままだった。



そう思えば、全部に意味があるんだと思えるのだ。



「嬉しいことを言ってくれるね」


「アサヒ…?」


ほんのり頬を赤く染める彼の姿に目を見張る。


理解を示したつもりだけど、それでもやはり驚かされるものがある。


同時に、それは私にしか見せない顔だと知っているから、どうしようもなく気持ちが膨らんでいく。



「アリサは僕を喜ばせる術を本当に熟知しているね。
そこが僕が好きなアリサの良いところでもあるけれど、他の男に言っている姿を想像するだけで嫉妬に狂いそうだ」


「アサヒ以外には言わないっ」


「うん、知っているよ。
君が心底僕を愛してくれていることも、僕がどれだけ君に魅せられているのかも」


「っ!」


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