魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
嬉しい、と口にすることも忘れて放心する。
それだけ気持ちが溢れて仕方がないのだ。
「君のことを僕は全部知っているよ」
大きく、大きくなって。
許容量を超えたそれは形になって、想いを伝える。
気持ちに後押しされるまま、アサヒに触れる。
「ん、どうしたのアリサ」
アサヒに抱きついたまま、彼の胸に顔を埋めて小さく首を振る。
「何もない」と、そう伝えるように。
くすり、と頭上から降ってくる微かな笑い声。
とても、楽しそう。
「人前では恥ずかしがるアリサもいじらしくて可愛いけれど、こういう大胆な君も悪くはないね」
戯れているわけでも、からかって言っている訳でもない。
それは彼の本心だ。
嫌な嘘を、アサヒは私には絶対につかない。
あるとするのなら、それは私を案じている時だけだ。