魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
どことなくアサヒの態度が冷めている気がする。
余計なことは言わないほうがいいのか、と様子を見ていると。
「やっぱりアリサに隠し事はできないね」
ことり、カップを置いて困ったように笑うアサヒ。
「機嫌が悪いこと。気付いているよね」
「…え、と……はい…」
今日は一段と感情をひた隠すから、私の思い違いかと疑わしかったけど。
やはり何か思うところがあったらしい。
それにしても、常に余裕を滲ませて掴ませないようなアサヒの口から「機嫌が悪い」だなんて。
あまり耳馴染みがなくて、何て反応すればいいか一瞬考えてしまった。
「正直なところ、少し歯痒かったんだ」
「……歯痒い…?」
アサヒは変わらない穏やかな笑みを浮かべながら頷く。
「アリサが素直に話してくれないから、ついね」
「……」