魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
言葉がなくても通じるものがあるのなら、それは良いことだと思う。
一方で、分が悪くなるのは考えものだ。
とはいえ、私が彼に対して有利になることはほとんど無いのだけども。
「アリサ。信じるものがないなら、僕を見て」
「…!」
「名前を呼んで、触れて、求めて。
そうして僕を信じていればいいよ」
私の不安を彼はすくい取ってくれていた。
小さな頃から常にそうだったように。
今度もまた、私を導いて寄り添って、側にいてくれる。
「……間違いは、ないの?」
身を委ねて、懸念することさえなかった私は初めてアサヒにそう聞いてみた。
「周りがどう言おうと、僕は優秀ではないよ。当然、万能でもない。
間違うことは当然あるけれど、アリサがいるなら回り道も悪くないと思ったんだよ」
遠回しだけど、それは私が言っていたことと同義だ。