魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜



僕を気にするアリサが一人で出かけることはまずない。


それなら、場所なり終わる時間なり、もっと詳しく告げるはずだ。


咄嗟にデートと言い回したのだ、相手は男。


アリサの交友関係はさほど広くないし、その中で異性となれば奴しかいないだろうことは彼女に言われずとも分かっていた。



ある程度歳のいった男がいて、当て所もなく……というのは少し考えにくい。


だからこそ、行き先を告げないのは変だ。


シロウと一緒にいて隠すことがあるかはいささか疑問だけれど。



さて、どうしたものか。


二人がわざわざ示し合わせて、なぜ行動を共にしているかはおいおい問い詰めるとして。


もう少し探ってみるか。


残ったコーヒーを飲み干す。



「さて、僕の愛しい姫様は何を企んでいるのかな」



あの方向だと、大型のショッピングモールがある。


そこに向かうのだろう。




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