魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
夢と現実
かちゃかちゃ、と控えめの音が響く。
朝食から数時間経過した、いわゆる午前のおやつ時。
戸棚から取り出した食器に、デザートを盛り付けながら胸を躍らせる。
ちなみに朝食は、部屋に備え付けのキッチンで私が作った物を完食。
今でこそ包丁を持つにも終始、横でシュウが見守っていないと自由にはさせてもらえないけど、これでも随分マシにはなった。
なぜなら初めは、部屋の至る戸という戸に鍵がかけられ、完全隔離状態だった器具たち。
本当に最近までは何一つ触らせてはもらえなかったから、大きな進歩に違いない。
持ち出したティーポットから注がれる上等の紅茶。
本日のデザートは特製のブリオッシュ。
申し訳程度に苺とホイップをトッピングして、見た目も華やかに。
いくら休憩を挟んだとはいえ、朝食の後なので軽めに仕上げました。