魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
最初の頃はあれだけ警戒していたというのに。
案外、私は単純なのかもしれない。
……うっ、やはり悔しい。
そう考えると、尚更にそう。
「食べないの?」
はっとしてシュウに目をやると、不思議そうにしているわけでもなく、軽く小首を傾げる程度の仕草を見せていた。
「た、食べます……っ」
慌てるように雑念を振り払って、シンプルにアルミカップに盛られたそれを手に取る。
一口かじると、ふわりとした食感が口内全体に広がった。
うん、ちゃんとできてる。
良かった、と安堵して紅茶を口にする。
安らぎを受けるひと時。
何より、普段一人でいることも多いこの部屋。
できる事もおのずと限られてくるこの場所で、他に人がいるという現実が嬉しくさえ感じられた。
……なんて。