魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
理由がどうであれ目の前にいるのは、私を閉じ込めて、枷まで付けた張本人なのに。
外界から遮断された要因は、紛れもなくこの人にあるのに。
安心する、などと。
それでも彼は言ってくれた。
『傷付けない』『救いたい』
最初の頃に告げられた、彼のあの言葉が鮮明に思い出されて。
戸惑いこそしたものの私は、確かに味方ができたと感じた。
それこそ、真摯に想ってくれていると。
そう私に思い込ませる程度には、私も彼を信用し始めているのだ。
信頼せず、信用する。
似ているようで意味は異なった二つの言葉が頭の中に浮上した。
私は彼を、どういう目で見ているのだろう。
庇護欲さえも掻き立てられる、その時々、弱くて脆い存在が私をおかしくさせる。
狂わされた精神の果てに待つのは何か。