魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
問われなくても何となく、自身の心情を踏まえれば想像できる。
私は彼に。
——縋りたい。
私は彼を。
——守りたい。
庇護する側とされる側。
そのどちらも手にしたいという欲望が渦巻いて、息が乱れる。
肘をつくと、がたん、とテーブルの上の食器が揺れる。
気分が悪い。
それをいち早く察知したのは、向かいに座るやはり彼だった。
「アリサ」
席を立ってこちらに近づいてくる気配。
下を向いて頭を抱えた私には、その程度の情報しか捉えられず。
そっと触れた温もりも、すぐには気付けなかった。
「かわいそうに」
かわいそう……?
私が、どうして……
問いかけは、背中を優しくさすってくれる温かい手に吸い取られるように消えていく。
「君は不安定なんだ」
そう、確かに私はかわいそう。