魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
* *
眠ってしまったアリサを抱えて、ベッドに腰を下ろす。
膝の上で眠る彼女は、何物にも侵されない純真さを滲ませていた。
可愛いな。
細い首筋に手をかけてみた。
仄かに熱を持ち、少し冷たい彼女の温もり。
触れたくて触れたくて堪らないのに、食らうのは常にお預けで。
尻尾を振って隣にいるかと思いきや、気づけば彼女は一人、冷たい湖の底をたゆたっている。
その度に引き戻し、助け起こすのが僕の役目であり、義務。
愛おしい。
だから彼女に手は出せないし、キスの一つも出来やしない。
いつもいつも惑わせる、彼女はまるで悪魔のよう。
彼女の体を支えながら、僕とは違う、さらりと流れる艶やかな黒髪を梳いてやる。