魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜





* *





眠ってしまったアリサを抱えて、ベッドに腰を下ろす。


膝の上で眠る彼女は、何物にも侵されない純真さを滲ませていた。


可愛いな。


細い首筋に手をかけてみた。


仄かに熱を持ち、少し冷たい彼女の温もり。



触れたくて触れたくて堪らないのに、食らうのは常にお預けで。


尻尾を振って隣にいるかと思いきや、気づけば彼女は一人、冷たい湖の底をたゆたっている。


その度に引き戻し、助け起こすのが僕の役目であり、義務。


愛おしい。


だから彼女に手は出せないし、キスの一つも出来やしない。


いつもいつも惑わせる、彼女はまるで悪魔のよう。



彼女の体を支えながら、僕とは違う、さらりと流れる艶やかな黒髪を梳いてやる。


< 42 / 326 >

この作品をシェア

pagetop