魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
「甘いもの、好きだよね。夜はきちんと用意するから」
「……どうも」
ぶすくれて直らない私は、いつの間にか引かれた椅子に抵抗なく座る。
食事はそれはそれは美味しかった。
私には敵わないというけれど、私からすれば明らかにそれ以上の腕前だ。
文句のつけようがなく、更に悔しい思いに浸った。
「あっ、あの!次は私がお祝いします。
シュウの誕生日はいつですか?」
せめてお返しくらいはしなくては。
とは言っても、この部屋から出られないため、大したもてなしはできないけども。
そう思って言ったのだけど。
「いいよ、別に」
それだけ口にすると、料理を口に運ぶ。
その後、何度か聞いてはみたけど、結局シュウは微笑を絶やさないまま口を開こうともせず。
何も語りはしなかった。