魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
困惑顔から一転。
ふわりとした微笑を浮かべて、何度も「そっか」を繰り返す。
「でもそれって間違ってる!」
「…?」
びしりと指をさされてよく分からないと疑問が広がる。
こらこら、指を指してはいけません。
普段なら注意するところも、今日はすっかり忘れてしまったらしい。
「“私の”じゃなくて、“私たちの”。でしょう?」
「え……あ、うん」
まさか、同じだから忘れるわけもないのに意味もなく、喜色が顔全体に拡がっていくのを感じる。
「そう、だ。今日は僕の誕生日……」
「なあに?まさか忘れていたの?私みたいに」
楽しそうに笑う彼女は知らない。
本当は覚えていた。
覚えていないはずはないんだ。
彼女の特別を。自分の特異を。