魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
拳で何度も床を叩きつけるけど意味はなく。
そんなことをしても、階下の人間には届かないことも知っていた。
こうなると知っていたのなら、彼に踏み込むべきてはなかった。
過剰に彼を気にしなければ良かった。
そうすれば、望みは僅かでも残っていたはずなのに。
希望もないと知った今、過去の自身の行いを悔やみ恨むほか、残されたものはない。
ただの一つも、望んではいけなかった。
彼にも、自分にも。
今こそ叶えられないものなら何もかも、無意味なものでしかなかった——。