魅惑のプリズナー〜私は貴方に囚われた〜
「…は…は、はは……」
無意識に出た、乾いたそれは笑みと呼ぶにはあまりに不相応だった。
とても面白いとは言えない、この状況下。
だってもう、笑うしかないでしょう?
他にすること、無くなってしまったの。
泣いた。躍起になった。一通り暴れただろう。
料理もした。読書もした。
出来ることはし尽くして、だけど全然楽しくなどなかった。
そこに人が——自分以外が。
特定の誰かが、いないというだけで。
今日もだめだと、分かり切ったことで自分を納得させながら食事を片付ける。
色々なことで頭がごちゃごちゃ。
直前に考えていたのは、それもきっとシュウのこと。
……あれ。何だろう。
皿を持つ手がピタリと止んだ。